自動車の機能の増加に伴って車両の軽量化が要求される中、古河ASでは、車両のボディやフロア等に組付けられるワイヤハーネスのアルミ電線化を推進してきました。さらに自動車シートにおいても、多くの機能追加によって回路数が増大するワイヤハーネスの軽量化に向けてアルミ電線化の開発を進め、現在、様々な車種に搭載されています。
今回は、トヨタ事務所の春日井さんを中心に、電装システム1部の皆さんに集まっていただき話を聞きました。
春日井さんは、初めて自動車シート用ワイヤハーネスにアルミ電線を採用された一大プロジェクトに、顧客担当として携わりました。シートハーネスの生産準備活動や、プロジェクトの経緯、普段の働き方やチームの関係性、仕事のやりがいまで、盛りだくさんの内容を全2回にわたってお届けします。
目次
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- シートハーネスの生産準備活動
- お客様にとって“良い聞き役”に徹する
- 人気車種のシート用ワイヤハーネスにアルミ電線を採用
- 複合的な提案と品質への信頼
- 若手が活躍できる風土
- 設計と製造をつないで製品を生み出す
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シートハーネスの生産準備活動
―普段、どんな仕事をされているか教えてください。
春日井: 私は電装システム1部という部署に所属しています。設計部門ですが、図面を作るのではなく主にお客様とのやり取りや、社内に向けて生産準備の取りまとめを行っています。担当している製品は、運転席や助手席、後部座席を動かすためのシートハーネスです。
春日井さんの働くトヨタ事務所
具体的には、お客様から車両開発の情報や製品の図面などをいただいたら、その都度資料を作成するなどして社内に展開し、図面の処理などを進めていきます。車種によってシートのランクや形状は様々で、それに伴いシートハーネスの仕様も異なるため、開発ごとに対応が必要です。最近のシートは高機能化が進んでおり、ヒーター機能やマッサージ機能がついていたり、高級車なら人が座った位置を記憶してボタン1つでその位置にセッティングしてくれるものまであり、ハーネスも複雑になってきています。
お客様にとっての“良い聞き役”に徹する
―仕事を進める上で心掛けていることはありますか。
春日井: 私がやり取りするのは、ほとんどがメーカーの開発部門、設計部門の方々なのですが、大切にしているのはお客様にとって“良い聞き役”であるということです。もちろんこちらからのご提案も最終的には必要ですが、私たちにご連絡いただく時点で、お客様に何かしらお困りごとがあることが多いので、まずはそれをしっかり聞いた上で、こちらから最適なご提案をする。また仕事を進めるときにも、お客様の要求事項が何なのかをきちんと理解し、それをチームのメンバーとも共有すること。かなり基本的なところではありますが、重要だと思って意識しています。
人気車種のシート用ワイヤハーネスにアルミ電線を採用
―大手自動車メーカーの人気車種のシートに、古河ASのアルミ電線ワイヤハーネスが採用された経緯について教えてください
春日井: 2015年頃、古河ASが独自技術でアルミ電線用防食端子α端子®を開発し、会社としてお客様に軽量化を目的にしたワイヤハーネスのアルミ化を積極的に提案していこうという流れになりました。私もそのタイミングで担当するお客様にアピールはしたのですが、いろいろな事情があって当時は採用には至らなかったんです。でも、しばらく別件でやり取りを続けるうちに、お客様の方から「使ってみたい」と言っていただき、まずはある人気車種の後部座席で採用され、実績をつくることができました。
その後、今後開発される車種の頭出しとなるシートハーネスの重要なコンペが始まりました。私は量産に向けた開発をする部隊の人間なので、コンペ活動ではメインで動くようなポジションではありませんでしたが、お客様から質問や意見があった際には、丁寧に対応しながらもなるべくうまく自社製品をアピールできるよう心掛けていましたね。コンペの結果、頭出し車種だけでなくそれ以降続く車種の分も含めて受注が決まり、α端子シリーズ及びアルミ電線を使用したハーネスの数量を大きく増やすことができました。
最初のご提案から随分時間をかけて採用に至った形にはなりますが、実は私自身は特別な働きかけをしたという意識はなく、あくまでお客様と直接やり取りをする窓口として、α端子®に対する良いイメージを保っていただけるよう配慮しながら、それ以外で既にいただいている仕事に、その時々でコツコツと丁寧に取り組むことを大切にしていました。そういった日々の積み重ねを認めていただいて信頼を得ることができているのかな、これこそ古河ASのスタイルじゃないかな、と私は考えています。
アルミ電線とα端子🄬 自動車のシート内に配線されています
複合的な提案と品質への信頼
―シートハーネスならではの難しさがあるとお聞きしました
春日井: シートは一般ユーザーにすごく近いところにある製品なので、例えばジュースをこぼしてしまったり、雪道を歩いた靴で車の中に乗り込んだりすることもありますよね。そのように水がかかるリスクが高い場所にシートハーネスはあるのですが、アルミの電線は水に非常に弱い面があり、水がかかってしまうと様々なダメージを受けやすいんです。
そういった特性を考慮した上で、優れた防食性能を持つ自社開発の端子を合わせてご提案しました。このような複合的な提案ができることも古河ASの強みのひとつだと思っています。また他社からも似たような提案はあったようなのですが、品質への信頼性が決め手になって選んでいただいたと聞いたときはとてもうれしかったですね。
シートハーネス
設計と製造をつないで製品を生み出す
―仕事の魅力はどういったところだと思いますか。
春日井: お客様の開発・設計部門と古河ASの製造部門との間に入ってやり取りしながら、納品まで両者をうまくつなげて製品をつくっていくというところが、この仕事の一番面白いところだと思っています。進めていく中でうまくいかなかったり、トラブルが起こってしまうこともどうしてもあります。
そういうときに、いろいろな部門の人とやり取りしたり、チームのメンバーみんなで対応にあたったりしながら何とか解決まで持っていけたときは、大変だけどとても達成感がありますね。
自席での春日井さん
前編では、春日井さんにシートハーネスの生産準備活動の仕事の魅力などを聞きました。
後編では、チームやグループのメンバーの皆さんにも加わっていただき、普段の働き方や関係性などを語ってもらいます。
どうぞお楽しみに!
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